すべては、「セレンディピティ」~思いがけない偶然から、価値ある発見や幸運を得ること~

柿谷奈穂子(かきたに なおこ)さん

はじめてお会いした時、柔らかな声で丁寧にお茶について語ってくださった柿谷さん。
その語り口から、ゆっくりと、でも確かに伝わってくるものがある方だなと感じた。

そんな柿谷さんに話を聞いてみると、実は「人前で話すことが大の苦手」だった過去があるという。
声が小さいと言われ続けた学生時代が、なぜ今、講師として人前に立つようになったのか。
柿谷さんのストーリーをご紹介します。

目次

「声が小さい」と言われた学生時代

小学生、中学生の頃の柿谷さんは、「声が小さいね」とよく言われる子どもだった。
人前で話すことがとにかく苦手で、できることならずっと目立たずにいたい。そんなタイプだったという。

「ずっと克服したいとは思っていたんですけどね」

まさか将来、人前で話す機会の多い講師業に就くとは、当時の柿谷さん自身も想像していなかった。

京都で見つけた、人生を変える一杯

転機が訪れたのは、京都に住んでいた頃のこと。
そこで出会ったのが、後にご主人となる方だった。

その出会いをきっかけに知ったのが、「日本茶インストラクター」という資格。
もともとお茶が好きだった柿谷さんの興味は、そこから一気に強くなっていく。

そして資格取得に向けて活動する中で、柿谷さんはあることに気づく。
それは「とにかく伝えることの大切さ」だった。

必死の勉強の先に見えた「伝える」ということ

お茶の栽培、製造、歴史、科学的な知識――。
それまで勉強したことのなかった分野を、柿谷さんは必死に頭に入れ、インストラクター試験に臨んだ。

資格取得後も、柿谷さんの探求は止まらない。
「お茶の専門家ではない人にも、どうしたらわかりやすく伝えられるか。どうしたら興味を持ってもらえるか」
そればかりを考えるようになったという。

あれほど苦手だった人前で話すことも、講師として何度もシミュレーションを重ねる中で、少しずつ克服していった。

「気づけば、あんなに苦手だったことが、仕事になっていました」

仲間に支えられて、広がっていった活動の場

柿谷さんの活動を支えてきたのは、同じ日本茶インストラクター仲間や、茶業関係者の方々だ。
ワークショップの機会や学びの場をたくさんもらいながら、柿谷さんの活動の幅は少しずつ、しかし着実に広がっていった。

そして今の自分を支えているものを尋ねると、迷わずこう答えた。

「家族の理解と応援です。特に主人は、私の相談役のような存在で、いつも悩みを聞いてもらってきました」

たまたま出会った一人の人が、資格との出会いをくれて、今も一番の理解者でいてくれる。
柿谷さんの歩みには、そんな偶然の積み重ねがある。

これからは、土佐茶の魅力を「発信」していく

現在、柿谷さんは「日本茶インストラクター」として、お茶の淹れ方講座やワークショップの開催、企業・団体への土佐茶を使った商品化提案などを行っている。


また「土佐茶寮 山の灯」として、土佐茶や地域商材を使ったドリンクをキッチンカーで販売し、地域のイベントで土佐茶を紹介する活動も続けている。

「実はSNSがとにかく苦手で、ワークショップに実際に参加してもらうことで伝えられたら、とずっと思っていたんです」

けれど最近は、それだけでは届かないものもあると感じているという。

「まずお茶に興味を持つきっかけになるような、道具の誂え(アツラエ)や、お茶の写真をもっと発信できるようになりたいと思っています」

さらに最近では、海外のお客様からワークショップや産地案内の要望が届くようにもなってきた。

「英語は苦手で、日本語でしか講座をしたことがないんですけどね」

そう笑いながらも、柿谷さんの目はどこか楽しそうだ。

「いつか外国語で、外国の土地でもお茶講座ができたらいいなって、考えています」

須崎でこれから何かを始めたいと考えている人へ、柿谷さんはこう伝えたい。

「まずはまわりの人に声をかけて、小さなことでもいいから頼ったり、自分の思いを話してみてください。きっと力になってくれる方や、アイデアをくれる方がいると思います。地方の小さなコミュニティーならではの良さは、親身になってくれる方が多いことです」

自分の人生を一言で表すと

最後に自分の人生を一言で表すとお聞きしてみました。
するとこのように返ってきました。

「セレンディピティ、です」

「思いがけない偶然から、価値ある発見や幸運を得ること」という意味のこの言葉。
京都でたまたまご主人と出会い、日本茶の資格を知り、たまたま須崎に縁ができて嫁いできた。
振り返れば、偶然から得た幸運がたくさんあったと柿谷さんは言う。

「ただ、偶然発生した機会も、チャンスだと思わなければ何も起きません。だからこそ、今起きている自分の環境を、常にチャンスだと考えて動くようにしたいと思っています」

声が小さいと言われていた学生時代でしたが今、須崎の地で、土佐茶の魅力を伝え続けている。



柿谷奈穂子(かきたに なおこ)さん
活動名(屋号):日本茶インストラクター/土佐茶寮 山の灯
活動内容:お茶の淹れ方講座・ワークショップの開催、企業・団体への土佐茶を使った商品化提案、土佐茶や地域商材を使ったドリンクキッチンカーでの地域イベント出店
拠点:高知県須崎市
活動の特徴:日本茶インストラクターとしての専門知識をベースに、土佐茶の魅力をワークショップやキッチンカーなど様々な形で発信

是非、柿谷さんのお茶に触れてみてください♡

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